新幹線に乗るのがわりと好きです。会社勤めをするようになってもあまり出張には縁がない仕事なので、いまでも新幹線に乗るのはちょっとだけ日常とはちがうできごと。

子どものころに「旅をするにも新幹線のおかげで便利になったがその分情緒がなくなって……」なんていう文章を読んで、ふーんそんなものかねと思ったことがあるけれど、もうすっかり新幹線というのは日本人の旅ごころと切り離せないものになってしまってるんだろうなあ。

大学生の頃、夏休みに帰省するときに神奈川辺りで見える海だとか、帰り道東京駅に近付いてごちゃごちゃした町並みにうんざりしながらも戻ってきたなあっていう気分だとか。もっと後になって恋人に会いに向かう途中、米原あたりでいちめん桜色に染まった山を見たことだとか。たぶん忘れないんだろう。