引き続きのんびりと

朝ごはんを食べて読書そしてゲームボーイミクロスーパーマリオ。ちなみにスーパーマリオの世界最短クリアタイムは5分17秒らしい(動画)。そうこうするうちに妻が習字を始めだした。このまえ実家に行ったときに道具を持って帰ってきていたのだった。しばらくすると僕にも書いてみないかと勧める。それならばということで、およそ二十年ぶりに毛筆を握って手本を見ながらゆっくり書いてみる。とんでもなく下手だけど、書くことじたいは楽しい。これでも子どものころ2年くらいは習字教室に通ってたんだけどな、と思いつつ妻にどれくらい習字教わってたのさと訊ねると12年も習ってたという。えっ、じゃあ級じゃなくて段持ってるの?と畳み掛けると、段じゃなくてその上じゃとのお答え。ほえー、まだまだ妻について知らないことはたくさんあるもんだなー。
お昼に磯辺もちを食べて、しばらくしてベランダに出て煙草を吸っていると靱公園のほうから盛んに鳥の鳴き声が聴こえてくる。なんだろうと思って公園へ行ってみると、樹々のずいぶん上のほうでおなじ種類の鳥たちがピーッピーッとさえずっている。大きさはヒヨドリくらいあるけど、全体に黄味がかっていて何の鳥だかわからない。アオバトにしては鳴き声がちがうしな。ぐるりと公園を一周する。靱公園はこのところずっとどこかしら整備工事中で、地面に近い茂みがほとんど取り払われてしまった。見渡しはよくなったけれど、地面に降りてくる野鳥はいなくなってしまったようです。防犯とか理由はあるんだろうけど、あんまり小綺麗になりすぎるのも寂しい。そうそう、散歩している犬で太り過ぎて顔面がハンコみたいになってしまっているパグがいました。
帰って堀江敏幸の「河岸忘日抄」の続きを読む。この小説の中に、ピエール・ガリッシュというフランス人デザイナーによる“Tonneau”(「樽」の意)という椅子が出てくる。

「樽」と称される椅子は、四〇年代なかばに北欧で開発されたベニア成型法による、この国初の量産品なのだという。継ぎ目のない座面が人間の身体にぴたりと寄り添って座り心地がいいうえに量産も可能なこの製法を用いてガリッシュがデザインした椅子は、背の部分がたしかに樽の一部を切り取ったような、滑らかな曲線を描いている。

ネットで調べて画像を見ると、たしかにヤコブセンをはじめとした北欧のプライウッドチェアの多くが前提にしていたスタッキングを無視することで、それらにない立体感とチャーミングさを備えているように思える。じぶんの家には合わないだろうけど、僕も河に繋留された船の上でならこんな椅子に座ってクロフツの「樽」を読んだりしてみたい。てゆうか、この小説はこの小説でいいんだけど、そんなふうに自由にクロフツチェーホフツェランを読んだり、ポール・クイニシェットやショスタコーヴィッチを聴いたりできるゲームがあるといいなあと思った。あ、タルコフスキージョン・ヒューストンも観ることができんの。

河岸忘日抄

河岸忘日抄