春の一日

朝の9時に部屋のドアノブの交換をお願いしていたのに、目を覚ましたら8時50分。妻は「わたし無理だから!頼んだ!」と別の部屋に逃げこもってしまった。しかたないのでとりあえずタバコを一服したところで呼び鈴が鳴って、パジャマのままで工務店の人に応対。作業じたいはノブを外して新しいのを取り付けるだけで数分間で終了。妻がいる部屋に行くと、毛布にくるまって二度寝ちゅう。僕もとなりに寝転がって本やマンガを読みふける。
午後から千日前の道具屋筋に出かけて、竹の蒸篭とざるを購入。一色文庫へ。長谷川伸の「石瓦混淆」(中公文庫)。
風がすこし強いせいもあって、日が暮れるとけっこう寒さが身にしみる。中学生のころに“春宵一刻値千金”ということばがあるのを知ったっけ。ことばに表されないと現実の美しさに気づかない、どんくさい子どもだったことの証明ともいえるけど、それ以来春がくると僕はこのことばを思い出しながら春の宵の代えがたい素敵さを味わう。だけど今年はまだすこし早いようです。といっても、あっという間に消えてしまうからこそ値千金なわけで、ぼやぼやしてると夏になってしまう。