ラブソング

占い全般を信じますか? と訊かれたら、土人じゃねえんだからそんなもんいちいち気にしてられっかよ、と答える。基本はそうなんだけど、でもじぶんの過去をかえりみると、ある種の傾向を認めざるを得ない点もある。好きになる女の子の血液型はみんなB型だ。ちなみに僕はAB型なんですけど。妻とつきあいはじめたときも、やっぱりBか……しかも牡羊座が加わる最強パターンか……と少々愕然とした。
ちょうどそのころ、バイト先で流していたFM放送で「Blood type-AB Lover」という曲がよくかかっていた。AB型の子がB型の子を好きになってもしょうがないのに、でもなんか好きになっちゃうんだよねー、というような歌で、僕も心の中でウンウンよくわかるよと深く頷いていたのだった。幸いなことに、妻とはしょうがなくならず現在までおつきあいさせていただいているわけですが。
思うに20代後半のこのころが、ヒットチャートに載るような音楽をいちばん耳にする機会が多かった。昼間はバイト先のFM放送、そして格ゲーにのめり込んでいたので夜はゲーセンの有線放送。ややもすると、世の中に恋だの愛だのばっかりの歌が氾濫するのにうんざりもしてしまうけれど、このころを思い出すと、流行のラブソングに自分を投影するのも悪くないものですね。なにしろ僕は恋をしていたのだ。当時のいちばんのお気に入りは、aikoの「ボーイフレンド」だった。遠距離恋愛だったので始終会えるわけではなかったけど、この曲を聴くといますぐ彼女に会いたくなったものです。しまいにはイントロが流れるだけで胸の奥が苦しくなるような、パブロフの犬じみた反射っぷりまで獲得したという。
最近はクルマのなかでくらいしかFM放送も聴かないけれど、あまりぴんとくるラブソングには出会わない。恋、ていうのとはちがうかもしれないけれど、暮らしにラブは存在しているわけで、そんな気分にぴったりの歌はないかなあ。

Blood Type AB-Lover

Blood Type AB-Lover


ボーイフレンド

ボーイフレンド