阪神タイガース

大阪に暮らしていると、阪神ファンという人も周りにもちろんいるけど、わりとクールに見ている人が大多数なんじゃないかなーと感じる。というか、90年代以降は阪神という球団の位置づけに変化があって、なんか騒ぎたいだけのファンが増えたよなという人は多い。それはなんとなくわかる。しかし、ファン構成層に変化があったとしても、それでも阪神ファンには他の球団のファンにはないクレイジーさが細々と残っていると僕は思う。
去年のことだったけれど、堺筋をスクーターで信号待ちしていると、1車線挟んで日産のティアナが同じく停まっているのが見えた。知らない方に説明しておくと、ティアナというのは「クルマにモダンリビングの考え方」をキャッチコピーに、CMではイームズアルネ・ヤコブセンのデザインプロダクトをイメージに使用したりして、アッパーミドル向けの上質なセダンとしてなかなか成功した車種です。さてその停まっているティアナなんだけど、一瞬ティアナとはわからなかった。というのは、どう考えてもメーカーが用意しているとは思えないマットな黄色に塗装されていたからである。驚きながらも、うーむむ、このセンスはすごいと感心していると信号が青色になり、発進していったティアナのリアウインドウに見えたのはトラッキーとラッキーのぬいぐるみだった。ここで阪神ファンだと得心がいったわけであるが、モダンリビングはぶちこわしである。
でも、この突き抜け方はあまりにも過剰ですがすがしい。サブカル的な若気の悪趣味趣向とはまったく違う根性の入り方であり、白地の縦縞がチームカラーの現在に往年の黄色を持ってくるというところからも年季の入ったオールドファンとお見受けする。他の球団にこんなファンがいるとはなかなか想像できない。