天保山にての土曜日

クリスマスシーズンのライトアップがはじまった天保山の海遊館に行ったあと、ふたりで観覧者に乗ってみた。雨上がりで冷たい風も強く吹いているせいか、上にのぼっていくと大阪のまち全体が見渡せるようにきらきらと広がっている。ふたりとも方角に不案内なせいで、はっきりそれとわかるのは安治川の向こう岸のユニバーサル・スタジオ・ジャパンくらいしかなかったけれど、きれいだねえとひとしきり騒いでからじっと眼下を見つめるうちに、とても小さな玩具みたいな通天閣が、ピカッ、ピカッと輝いているのがようやくわかった。その小さなネオンの灯は本当に愛おしく、いっぺんに通天閣が好きになってしまった。ベタなことをするとベタなもののよさがよくわかる。