リハビリのための日曜日
「日々の生活のなかで、音楽を聴く割合がずいぶん減ってしまった……」。そんなふうなこと思ってる30代諸君は多いと思います。僕もそうです。ことにロックらしいロックを聴いて心が震えることなんて、もう数年来ないといっていい。少ないおこづかいから苦心して音楽ばかり聴いていた10代のころの僕は、当然のごとくじぶんは一生ロックを聴いているんだろうと思っていたのに、早くも30代でこんなアリサマになってしまうとはな。そう考えると深沢七郎はやっぱえらいよなあ……。40代でエルヴィス聴いて「東京のプリンスたち」なんて書いちゃうんだもんなあ……。
などと繰り言をぬかしていてもしかたない。さいわい今日の午後は妻が出かけていたので、でかい音でロックをかけて、どんなふうに現在の僕の耳に響くのか確かめることとした。今週着るシャツにアイロンをかけながらというのが、たいへんロックでなくて申し訳ないシチュエーションですが。1枚め、Blue Cheerの「Vincebus Eruptum」では正直なところしょぼい部分ばかり耳について、こんなんだっけ、やっぱもうダメかもと思わされたスタートでしたが、2枚めSonic Youthの「Daydream Nation」でやっと温泉に入ったようないい気分になってきて、3枚めTHE DAMNEDの「DAMNED DAMNED DAMNED」も軽快に体にすっと馴染んできて、もっとうるさく!もっとうるさく!と思うものの、とちゅうですこしばかり飽きてきて、妻も帰宅したことだし実験終了。
結論としては、おっさんは何ごとにも時間がかかるということである。10代前半のような、「Jumpin' Jack Flash」のイントロがラジオから流れるだけで、ビクっと電撃が体を走るような感じやすさは持ち合わせていないのだ。しかしきちんと準備体操を行えば、体はロックに反応する。考えてみれば当たり前の話で、ファックだって10代と30代ではおのずとやり方がちがってくるのだから(一般論)、音楽を聴くという行為だけが手つかずに年齢の影響を受けないはずがないよねー。そこで考えたのですが、準備体操としてこっちの体をロッキン・ピークに持っていってくれるような曲をかけてくれるような人がいたら新しい商売になるのでは、と書きながらそれたんなるDJじゃんと気づいた。あほか僕は。
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