あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いします。
年末から実家ほかへ出かけていて今日帰宅。
実家ではひたすら飯を喰って酒を飲む。妻の実家では3歳の甥っ子による舌ったらずの「アゲ♂アゲ♂EVERY☆騎士」などを肴に、ぐはははと酒を飲む。がきんちょと親・祖父母世代しかいないのでいいようなものだけれど、潔癖な10代の少年少女などがいたら、まちがいなくケーベツの眼で一瞥されたのちに、自室にこもってサリンジャーなど読まれそうなおっさん振りです。
もちろん、20年前は僕も潔癖な少年だったんだけどさ。それ以前に読んだ「ライ麦畑」の子どもっぽさに、サリンジャーってのはつまんない小説家だなと思っていたところへ、「ナイン・ストーリーズ」に出会って繰り返し読んでいたのが1986年から87年にかけての冬でした。そしておなじ季節、よく聴いていた1枚が、ムーンライダーズの発表されたばかりのアルバムだった「DON’T TRUST OVER THIRTY」。適度に実験性とポップを兼ねそなえた楽曲、そして何より、30代を過ぎた彼らによるクレタ人ばりのパラドックスに満ちたアルバムタイトルに象徴される、肯定と否定をこえた反語感覚に裏打ちされた世界がじんと心にきたものです。
そのころの僕がいまの自分を見たら、相当がっかりするかもしれないけど、これはこれで満足というか、おもしろいものなんだぜ? なんて客観的に自分のオヤジかげんを楽しんでみせる態度というのがくせもので、こういうのって歯止めがきかず、あと20年経ったら「国家の品格」を読んで日本精神を語り、「愛の流刑地」に感動してたりするかもしれない。ちょっと怖いですね! 人間の行く末というのはほんとうに油断がならず、たしかに30歳以上のやつのいうことなんて信用しないほうがいいかもしれません。
少々つかれた体を休めに、帰りがけに赤目温泉で一泊。温泉につかって、忍術鍋を食べて(どのへんが忍術なのかは不明だった)、温泉につかって、早めに就寝。おかげで今朝は6時前には目が覚めてしまって、しばらく妻が起きてくるまで、うすぐらい部屋のなかでぼんやり過ごしました。旅先やだれかの部屋で、ひとりだけ先に目を覚まして起きている短いひとときを、なにものにも代え難く美しく感じるのはなぜなんでしょうか? うす明るくなってきた空に残った月を映した窓辺でほんのすこしだけ本を読んで、朝風呂へ。
旅館をチェックアウトして、すぐ近くのサンショウウオセンターと赤目四十八滝のほんのとば口を見物して、大阪へ戻ってきました。

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)

ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)


DON’T TRUST OVER THIRTY(紙)

DON’T TRUST OVER THIRTY(紙)