三週間経てばの水曜日

早いもので、今月末あたりには妻が出産準備のため里帰りしてしまう。あれね、妻の里帰り出産中の夫のアクティビティーといったら、なんといっても筆頭はうわきだね。とかいう世間の風潮はなんとかならんもんかね。「あんま羽根のばしすぎてニシナカとか行ったらあかんで、ガハハハハ」。男の男に対するセクハラとはこういうことか。
しかしせっかくの機会、身重の妻のことは心配であり、そばにいてあげられないことがもどかしくはあるが(アピール)、春休み気分でウキウキしていることも事実。どうせならちょっといつもとちがうことを……といろいろ考えているところです。
入会金無料キャンペやってるジム探して2ヶ月ほどがっちりダイエットしてみようかなーなどと妻に話してみたら、プッて鼻で笑われた。むりと決め付けてやがる。最近は腹比べをしても断然妻のほうがどーんと出ているので、あっ、僕の腹なんてぜんぜん大したことないのかもと錯覚してしまうけど、パンツのウエストはどんどんきつくなる一方なのだ。
買ったけれど読んでない本にトライする、というのは無理ですね。しょうしょう時間ができたくらいで、ふだん読めなかった本を読むことができると考えるほど、おじさんはうぶな本読みではないのだ。それだったら休日に掃除も洗濯も買い物もしないで、読んだことのある大好きな本たちをベッドでぬくぬく読み返す至福の時間というほうが現実味がある。そして、そんな風に読むうちの1冊は、メイ・サートンの「独り居の日記」かもしれない。

何週間ぶりだろう、やっと一人になれた。“ほんとうの生活”がまた始まる。奇妙かもしれないが、私にとっては、いま起こっていることやすでに起こったことの意味を探り、発見する、ひとりだけの時間をもたぬかぎり、友達だけではなく、情熱かけて愛している恋人さえも、ほんとうの生活ではない。なんの邪魔も入らず、いたわりあうことも、逆上することもない人生など、無味乾燥だろう。それでも私は、ここにただひとりになり、“家と私との古くからの会話”をまた始める時ようやく、生を深々と味わうことができる。

ふふ、来月からの僕の日記はこんな清冽な文章で綴られる予定だからね! やっぱり無理にあちこち出かけたりしないで、家で、一人で、ゆっくりと過ごすことにしよう。そうしたらきっと、帰ってくる妻と新しく家にやってくる人を、このうえない愛情で迎えることができるように思うんだ。

独り居の日記

独り居の日記