子守帯とうつわの日曜日

昨日から妻と娘(部長)が大阪に戻ってきています。
このまえ購入したベビーカーが今日の午前中に届いたので、昼から試運転がてら靱公園にすこしだけ散歩に出かける。この季節、靱公園はバラ園がさかりになっていて、ちょうどこの週末も「うつぼ公園バラ祭り」という催しが行われていた。ずいぶん人と犬が多いので、ぐるりと回って早々にVADE MECVM. Showroom #2でコーヒーをテイクアウトして、ベンチで休んで家に戻る。
そのあとしばらく、めずらしく持ち帰った仕事が残っていたので片付けに入る。とちゅうで部長が泣くので、足を組んだ上に抱っこしながら仕事を続ける。てきとうに揺らしていると泣きやんでおとなしくなるのだけど、ひざの上がぽわんと温かくなってきて、こちらが眠くなってきてしまうありさま。
夕方からひとりで梅田に出る。裾直しを頼んでいたスーツをずいぶん受け取りに行けないままになっていたのだった。それと、景品だの貰いものだのでたまっていた商品券で子守帯を買ったら?と妻がいってくれたので、阪急百貨店でアップリカの子守帯を買うことにする。妻がスリングをじぶんの身長に合うように切ってしまったので、僕にはちょっと短くて使えないのだ。それに、リングを使うタイプのスリングは見た目がずいぶんフェミニンで正直あまり好みじゃないなと思っていたから、ありがたく申し出を受けることにする。
しかし阪急の売場に行ってみると、カタログで目をつけていた製品はワンシーズン前のもので、もう置いていないし、メーカーから取り寄せることもできないとのこと。うーん、置いてあるやつはいまいちぴんとこない……。ネットで探せばひょっとしてまだ在庫がある店が見つかるかもしれないと思い、礼をいって売場を後にした。
エレベーターが混んでいるのでエスカレーターで8階のベビー用品売場から7階へ降りるところで、「美しいもの展」というイベント案内が目に入ってきた。思い出した、三十番日録さん(id:MOZU)がこのまえ書いていたやつだ(http://d.hatena.ne.jp/MOZU/20070516)。購入されていた深緑色をした角皿の写真のようすが押しつけがましくないモダンさを漂わせていて、印象に残っていたのだった。そのままふらふらと7階で降りて、催し場の「美しいもの展」に足を踏み入れた。
複数の日用品作家による展示なのだけれど、やっぱり僕の足が止まったのは、上記の角皿の作家である李英才さんの器が置かれているスペースだった。ひととおり見渡したなかで、中ぶりの鉢にひとめぼれする。薄い青灰色に、深すぎず浅すぎずの端正なかたち。何度も手にとってはながめ、置いてはながめを繰り返し、気がつくと「これをください」と口走っていた。
ほくほくして家路についたものの、よく考えるとこれは非常にまずいのではないだろうか、子守帯を買いに出かけて代わりに陶器を買ってくるというのは父親としてどうなのか、妻にしかられるかもしれないと不安になってきた(もちろん預かった商品券ではなく、じぶんの手持ちの現金で買ったんだけど)。家に帰って、妻におそるおそる事の顛末を説明すると、わーきれいな器だねえ、さっそく今晩使おうよと喜んでくれたのでほっとした。そうだよな、抱っこもだいじだけど、目に清々しい器でごはんを食べることもだいじだもんな。そんなわけで今晩の食卓には、李英才さんの器に南瓜の煮付けの山吹色がよく映えたしだい。それに、目当ての子守帯もネットショップで定価の三分の一くらいで見つけたので、結果オーライだったのだ。