ひさしぶりに映画館へ

午前中はうちでぐだぐだ。
昼になって家を出ると、アルコデザインショップでセールをやっている。そういえばお知らせの葉書がきてたべな。ちょっと覗いていくと、けっこう気前のいい値札がついているなかにシュトッケ社のシッティがあった。半額以下。あーでも色がナチュラルだしなあ……、それに元値が高いからこの値段にちょっと足せばトリップトラップがふつうに買えるんだよなあ……。悩ましい。そもそもベビーチェアじたい本当に必要なのかどうか。妻が帰ってきたら見てもらおう。それまで残ってるかな。
クリーニング屋に寄って、区役所で参院選の期日前投票をすませて、シネ・ヌーヴォXでアレクサンドル・ペトロフの「春のめざめ」を観る。DVDが出たばっかだけど、たぶん買ってまで観ないよなーと思って。家の召使パーシャと隣に引っ越してきたお嬢セラフィーマのあいだで揺れ動く16歳の少年アントンの恋心、という童貞くささがほとばしる物語です。ていうか、日本語にはこんなときのために「それなんてエロゲ?」という便利な慣用句がある。この作品では人物描写にかなり力が注がれているけれど、アントン君の妄想シーンなどで自在なカメラワークはまだまだ健在。そして輝きに満ちあふれた画面、アヒルのガラス細工にとじこめられた光といったらもう! アクリル板と絵具を使う技法のために、他のアニメーション作品とは別格の存在のように扱われてしまうけれど、基本は本当に正統派のアニメーションで、だから僕らはペトロフがだいすきなんだ。
27分の上映はあっという間で、シネ・ヌーヴォを出て喫茶店「日本一」でアイスコーヒーを飲んで週刊ポストを読んでいるうちに、なんか観足らんなという思いがむくむくとわきあがってくる。というわけで、西天満の伏見屋書林に回りみちして、梅田ガーデンシティへ。古本と映画だったら梅田でぜんぶすませりゃいいじゃんと思われそうだけど、スクーターが足なので週末の梅田は停める場所に困るから避ける方向で。ガーデンシティに近づくと浴衣姿の女の子がちらほら見えてきて、あれ、淀川の花火大会はまだだろうと思っていたら、ガーデンシティ内で盆踊りをやっているのだった。
映画館のあるフロアに昇ると、時間的に「インランド・エンパイア」と「キサラギ」の2択。ちょっとリンチの気分じゃないなーと後者へ。アイドルの1周忌に集まった5人の男たちの密室劇。とてもうまく構成されたシナリオだし、香川照之をはじめ役者陣の演技(というかキャラ作りか)もよくって、楽しい映画だった。ただ、説明過多なところがあって、ウケるポイントなんかがこっちの感覚と微妙にタイムラグがあるのね。そこさえ決まればもっともっと笑えたのに、あー残念。だけど、どたんばたんと次々に繰り出されるエピソードを重ねて、うまいこと決着をつけている点は本当にすばらしいと思います。
家に帰って夕食を食べて、なんかひさしぶりに映画観るとおもしろいねと、妻の録画DVDをごそごそ探して、もう1本なにか観ようかと考えているところです。ていうかなんだ。いつのまにこんな溝口健二コレクションができてたんだ。

春のめざめ [DVD]

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