読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

みすず書房の本扉

いま、富田玲子の「小さな建築」を読んでいるところ。この本を手に取ると、みすず書房の本もひと昔前にくらべれば、ずいぶん装丁にバリエーションを持たせるようになったんだなと思う。

小さな建築

小さな建築


昨年リニューアルされたみすず書房のサイトトップページでは、画像を使って最近の新刊の背表紙が並べられている(ちくまと似たような感じですね)。これを見ても、白の背表紙にスミ文字の書名という、多くの人に愛されたデザインは半分以下になっているのがわかる。とはいえ、変化を施された本たちもなかなか瀟洒な雰囲気で、決して悪くはないんだけど。ちなみにこれら以外にも、掲載されている自社刊行物のほとんどすべてについて、表紙・背・裏表紙の画像を見ることができるという太っ腹なサイトである。
このように背の変貌はいちじるしいみすず書房の本だけど、じつは本扉のデザインは基本的に大きな変更が行われず、おなじものが守られている。手持ちの本があったら見てもらえればわかるんですけど、色文字の書名にスミ文字の著者名。これは、個人全集や大人の本棚シリーズなどの、カバーまわりの装丁がまったくちがう雰囲気のものもおなじ。ボルドーやダークブルー、モスグリーンといった色文字の使い分けがどのような基準にしたがっているのかはよく知らないけど、本扉に2色刷を使いながら、こんな慎ましやかなデザインに仕上げるセンスには脱帽だよね。
なんてことを考えながら、つらつら本扉を眺めていると、地側にちいさく印刷された“みすず書房”という文字に多少違和感があるのに気づいた。なんだろう、この微妙なつぶれ具合は、どうもふつうにフォントを使って組んでいるんじゃなさそうにも思えるけれど、画像データを使ってると云いきれるほどの確信は持てない。なんだろうなー、この微妙さは。本棚から他のみすず書房刊の本を引っぱり出して確認してみると、90年代はわりとふつうの鮮明さで印刷されていて、すこし肉太のつぶれた文字になるのは比較的最近のことのようである(A5判の本扉でよく使われている書き文字に近いアレのことではなく、四六判の話です)。どう考えてもわざとやってるよねー、これは。
ちなみに、手持ちの本のなかではバルトの旧装版「明るい部屋」を除いて、すべてカバー・扉の印刷は栗田印刷が担当しているというところになんか秘密があるのかもしれない。本文印刷はけっこういろんな会社がやってるのにね。