さらに寒い日

娘グッズが日々散乱具合を増しつつあった和室に、新しい家具がやってきた。grafのsmooth low boardというやつ。ちょっとしぶすぎたかしら……と思いつつ、おもちゃ、おむつ、いろいろを収納していく。ずいぶんきれいになったねえ、というのもつかの間、勝手に娘はおもちゃを取り出して散らかし放題。何時ぐらいから人は片づけるという概念を獲得するのであろうか。

昨日に増して寒い一日。かといってずっと家にこもりきりというのもナニなので、散歩がてら堂島のジュンク堂へ、とそこで初めて知ったのだけど、松田道雄の「育児の百科」が上・中・下の3分冊で岩波文庫にて刊行中! どびっくり!

定本 育児の百科〈上〉5カ月まで (岩波文庫)

定本 育児の百科〈上〉5カ月まで (岩波文庫)


うちには妻が古本で買った1987年新版の「育児の百科」があって、これはめっぽう面白い育児書です。松田先生(うちでは先生づけで呼んでいる)はさ、脱線するとこがいいんだよね。こどもに対する性教育について書いていたはずが、単なる性器教育になるだけなら文学によって性を学ぶほうが実りあるとか云い出して、「赤と黒」や「女の一生」では難しい、「三四郎」や「少年時代」がよいんじゃないかなーって、なんかもう余計な心配としか云いようがない。育児に関する知識のみを求める人には、どうしても時代的に古びたところもあるしあまりお奨めはできないけれど、育児書の最も大きな役割が新しく親になった人々に対するエンカレッジメントであるとするならば、今もこの本に優るものはないんじゃないかと思います。
岩波からは昨年「育育辞典」が刊行されたことで、もう「育児の百科」の出番はないんだろうなと思い込んでいたので、これはうれしい誤算です。しかも岩波文庫に収録するというそのセンス! これは参りましたとしか云いようがない。