週末のおぼえがき

  • 土曜の午前中は阪急百貨店に出かけていた妻が、両口屋是清の千なりを土産に買ってきてくれた。うちで突如どら焼きブームが沸き起こりつつあるのである。こどものころは“どら焼き”という単語になじみがなく(ドラえもんの好物がどら焼きというエピソードもぴんと来なかった)、千なりがいわゆるどら焼きに相当するのではないかと思いつつ、周囲でそれをどら焼きと呼ぶ人がいなかったため、未検証のまま僕は東海地方を離れたのである。で、改めて食べてみるとやっぱりどら焼きだったんだけど、彼の地ではどら焼きという概念が存在しなかったのであろうか。
  • ちなみに千なりの有名なCMソング、♪お里帰りのあの娘が買うた、千なりひと箱ふた箱み箱……、は阿久悠の作詞である。ていうかどんだけ買うねんそれ。という疑問にはちゃんとロングバージョンのCMが答えてくれている。♪婿を頼みにひと箱使い、幼なじみにひと箱使い、あとのひと箱親孝行……。「婿を頼みに」というのは高度な社交技術すぎて、こども当時にはよくわかんなかったですけど。
  • 午後からは島之内の一色文庫へ。娘がとちゅうから眠ったのでソファに寝かさせてもらって(勝手に)、しばらく店内あちらこちらで本をぱらぱら。たまにここに来ると、比較的最近のものだけどいつのまにか新刊書店で見かけなくなっているような本が必ずいくつか欲しくなる。おおよそ定価の半値強という安価さもありがたい。料理本や絵本関係も多いので妻もお気に入りである。なかなかほかにない類の店だと思う。
  • 千日前通りへ出て、西へ向かう途中で妻が「玉製家のおはぎが買える!」と叫んだ。へー、この近所なんだ、それは僕も食べたい。
  • 店の前には行列ができていて、ユザワヤに用がある妻に娘を連れて先に行ってもらうことにして、僕が並ぶことにした。しかしこれがなかなか動かない。一色文庫で買った「眼中の人」を読みはじめ、長ったらしいアーサー・シモンズの引用を抜けてもまだ注文に至らず、菊池寛の半端な祝儀を芥川がおかしむ段になってようやく購入できたころには、すっかり身体はこごえるように。でも、ここのおはぎはそれだけする価値があるんだもんよ。

眼中の人 (岩波文庫)

眼中の人 (岩波文庫)

  • しかし予定より遅くなったため、お茶は取りやめて早々に帰宅。近所の居酒屋で夕食。
  • 日曜日は大阪府知事選挙の投票をすませて、突発的に伏見稲荷へ。
  • 大山崎あたりで雪がちらついていたものの、京都に着いたら、すこし青空も顔をのぞかせるくらいの空模様。


  • 千本鳥居で知られる稲荷山には、ちょっとだけしか足を踏み入れませんでした。さすがにこの寒さでハイキングは酔狂に過ぎるし、8kgのウェイト(娘)を抱えてというのは無理がある。しかし、ほんのとば口だけでも、なーんかあるように感じさせる京都郊外の宗教スポットというのはすごいよね。鞍馬山とか。