古いCDを聴く

午前中は妻と娘が用事で出かけたので、ひとりで留守番。娘の洋服をかけるのに使うハンガーラックが届いていたので組み立てることにする。引き出しから古いCDを引っぱり出してきて、しかし現在うちのCDプレイヤーは娘のいたずら防止のロックをかけているので、それを外して操作しなくてはならず、大変めんどうくさい。なおかつ、再生するまえにはボリュームレベルの確認も不可欠である。

すきあらばわたしがいじってるからな!
聴いていたのはSmack Dabの「Majestic Root」、1994年にリリースされた作品。それより以前に「Queen Crab」という1stアルバムを作っているということ(2ndのほうが僕は好きです)以外には、履歴もなにも知らないグループ。
1994年というのは僕が大学を卒業して会社勤めをはじめた最初の年です。早く帰れるときは、代々木と千駄ヶ谷の中間ぐらいにあったその勤め先から、明治通りや、すこし逸れた細い道を通って、新宿まで歩くことがよくあった。なんとヒマな社会人いちねんせい。ぶらぶら途中にあるMacintosh関係のショップを覗いたりしながら(ああいう店はその後どうなったのだろう)、新宿に着いたら紀伊国屋書店で本を探したり、映画を観たり、いちばん多かったのはディスクユニオンで変なCDやカセットを漁ることだった。
このころが僕の最もたくさんCDを買っていた時期かもしれない。働きはじめるとお金もふえるしね。そのぶん、一枚あたりの聴き込む時間が少なくなっていくという、あのジレンマがあるわけですけど。そんで時代はローファイと呼ばれるジャンルが盛り上がっており、そこらへんのCDやカセットをいっぱい買った。ミュージシャンの名前なんて聞いたことないほうがよかった。「Majestic Root」もそういうなかの一枚だったけど、Homestead Recordsからのリリースという点でまだ安牌だと感じられるくらいであった。
で、当時もべつにたいした話題にもならなかったこの作品、僕はわりと好きでねえ……。ひょっとして今だったら再評価されたりとかしてんじゃねえの? なんたって今はインターネットさまがあるからね! そんなの調べるの朝飯前ですよ! と思って検索してみると、ほんとうに情報らしき情報がなかった。リーダーだったLinda Hagoodというひとが、その後the Double Uというグループを経て(なんてグループ名だ)、現在も地味めに活動中というくらいである。
本やCDを買うにもいちいちネットの集合知がどうのとかいう意見、いっけんもっともそうですが、あれうそだから。よのなかネット上にたいして情報のない事柄なんていっぱいあるから。これだけネット大好きっ子(37歳)の僕が云うんだから、ちょっとは信じておいてもよいと思う。そんでばんばん知らない本やCDを海外通販ででも買って、みんながっかりすればいいと思う。そのなかですこしくらいはお気に入りのものもできるだろうし、そしたら10年以上経って娘のおむつをたたみながらそういう音楽を聴くのって悪くないですよ。
あと、10年以上経つと、自分的にはうんこみたいな音楽でも、いつのまにか好事家がヤフオクで高い値段を出して引き取ってくれるという事態になったりするのもお得です。