ひなまつり

今日は娘の初節句でした。ちらし寿司、菜の花の白和え、はまぐりの吸い物というスタンダードなメニューを妻がつくってくれて、食後にひなあられと甘酒。

しかしあれね、こういうフェミニンなイベントって、加わりたいような、除けものにされたいような、なかなか複雑な感情がおとうさんにはあるね。ひなまつりとか、お花見とか、摘草とか、そういう行事が春の日に女性だけで営まれることに、おとうさんはいわく云いがたい憧憬をかんじているからなんですけど。
「墨汁一滴」で子規が書いている郷里の行事「おなぐさみ」とかいいんだよねー(青空文庫http://www.aozora.gr.jp/cards/000305/card1897.html)。たぶんこういうモチーフについては、当事者の女性が書いたものを読むより、男性、それも部外者であることを自覚した男性が書くもののほうが、おとうさんにはぐっとくる。老境に至ってなおgirlienessへの執着を失わなかったおっさん、谷崎潤一郎は、やはりその頂点といえよう。「細雪」における四姉妹が、みんなイイ歳になっても娘さん(小説に即して云えば「とうさん」)らしさを失っていない点には、この二十年来というもの感服しっぱなしである。終わり近いあたりで、長女の鶴子が芝居に誘ってもらいたいけど云い出せずに泣くシーンとか、いいよねー。