ロッテ・ライニガーのさし絵

日曜日は熱を出して寝込んでいましたよ。この十数年くらいは風邪をひくこともめずらしかったのに、ここのところ僕も妻ももうひとつ調子がおかしくて、これはやっぱり娘が保育園で拾ってくる菌のせいかなあと疑いのまなこ。
熱にうかされたとき特有のふしぎな夢から覚めて、そのままベッドで読みはじめたのは「アーサー王物語」。風邪をひいたときに読む本として岩波少年文庫という選択は鉄板だよねーと思いつつページをめくると、「さし絵:L.ライニガー」とあるのにびっくりした。これって、ロッテ・ライニガーのことなんじゃねえの。イラストの仕事なんてしてたんだ。なぜいままで気づかない。
R. Lancelyn. Greenによる「King Arthur and the knights of the round table」の原著出版は1953年のこと。ライニガーは戦後しばらくしてイギリスに移住しているので、状況的には合致する。Lotte Reiniger - Wikipedia, the free encyclopediaによると、移住後はおもにBBC向けにおとぎばなしを基にした短編アニメを製作したと書いてあるだけなので、イラストレーターとしてほかに仕事をしていたのかはようわからんですけどね。
このWikipediaの「Influence」という項目にはおもしろい記述があります。

Be-PaPas' TV series Shojo Kakumei Utena frequently references silhouette paintings, shadow puppets, flying horses and the European fairy tale tradition ― all icons of Reiniger's films ― but there is no known official confirmation of her influence.

ウテナかよ! ちょっと強引すぎるような気もするけど……。日本のアニメーションへの影響といえば大藤信郎、荒井和五郎、影絵作家として藤城清治の名前が挙がってくるのが相場だと思うけど、こういう見かたは嫌いじゃないですよ。

アーサー王物語 (岩波少年文庫 3057)

アーサー王物語 (岩波少年文庫 3057)