たんじょうび

娘が2歳になりましたよ。リュックサックと長靴とピングーのぬいぐるみをあげたら、ずいぶん気に入ったようでヨカッタヨカッタ。
保育園からは「はっぱのおうち」という絵本をいただきました。林明子さんの絵というのは、おっさんにとってはちょっとかわいすぎるというか、いまいちばんオールドファッションに感じられるタイプの絵柄ということもあって、これまであまり関心が持てなかったんですけど、いやーびっくり、すごくいい絵本でした。

「でも へいき。 さちには かくれる おうちが あるんだから」

庭で遊んでいると雨が降ってきたので、さちは植え込みの葉っぱのかげに隠れる。そこに現れるかまきりやもんしろちょう、こがねむしやてんとうむしやありとのやりとりが、文章で描かれているストーリーです。そんな情景がていねいに絵に表されることで、こどものころに過ごしたほんのひとときの雨やどりの時間が、葉っぱの緑の濃い匂いや、雨だれの音の記憶とともによみがえる。
ただ、この絵本がすごいのは、そのていねいさが半端じゃないところなのです。文章には出てこないかたつむり、しゃくとりむし、かえるたちがページをめくるごとにこっそり登場し、植え込みの後ろのほうにはほったらかしの植木鉢や、ままごとに使われたのか急須が静かに打ち捨てられている。雨が降りつづけるにつれ、葉っぱにはだんだん雨露がたまり、きらきらひかるくもの巣が現れる。そして、さちは手にしていたシロツメクサで腕輪を編み、手首にかける。そんな重層的な時間の流れが、はっぱのおうちに濃密な奥ゆきをもたらし、こどもばかりじゃなく大人が繰り返し読んでも飽きない空間をつくりだしているのです。たまらんかった!
P4112972

はっぱのおうち (幼児絵本シリーズ)

はっぱのおうち (幼児絵本シリーズ)