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父が消えた

 

そろそろこども部屋というのを用意していかんとな……という話を妻としていて、物置部屋になっていた一室をしばらく前から片付けはじめて、とうとうこども用の二段ベッドが導入されました。どんどん家がせまくなる。

 

しかし考えてみるに、かちょうさんのパーソナルスペースというものはこの家のどこにもないのではなかろうか。暮らしはじめてからそろそろ10年が経とうとするけれど、最初は大人のふたり暮らしなので別にわざわざそんなものを設ける必要もなく、まあ好きなとこで本を読めるようにするためにニーチェアでもそのうち買うかと思っていたところ、人もモノも増えて、がぜんそんな雰囲気ではなくなってきました。手遅れだ。妻には小さいながらもドレッサーとミシン台というじぶんのスペースがあり、猫のマルにも毛布を敷いた確固たる専用スペースがあるのに比べて、どうもおとうさんの居場所が懸念される。こうやって人は「男の書斎」とか、しょうもないファンタジーを渇望するようになっていくのだろうか。

 

ああいやだいやだということで、もう屋内には見切りをつけて、ベランダをだいじにしていこうと思う。並べた植木に毎朝水をやり、睡蓮鉢のメダカ、金魚に餌をやり、ミナミヌマエビの繁殖を喜び、靱公園の鳥のさえずりに耳を傾け、タバコを一服つけられる、かちょうさんの聖域である。「ああ 彼はついに全世界を部屋にして そしてそのドアを開け放ったのだ」まで、あと一歩かもしれません。

 

ちなみに二段ベッドで寝るのを渋っていたCJは、導入されたとたん上段のベッドが大のお気に入りで、昼間っから登ってごろごろマンガ読んでます。JJはまだ一人で寝れないようとぐずって上段のCJのとこに居候を決め込み、空き家の下段でマルが寝ているという按配です。