古本屋への道を迷ってしまった

今年の夏休みはどこにも出かけず、実家にも顔を出さず、ひたすら家でごろごろしていることに決めた。ジャコメッティ展や富本憲吉展は気になるけれど、たまにはどこにも出かけないで過ごすのもいいだろう。と思って休暇初日は思うぞんぶん家で過ごしたわけですが、2日めになるとちょっと気分転換がてら外に出ようかなあという気にもなってきて、ちょうどいい、こんなときこそ行ったことない古本屋に行こうと思って調べてみると、長居公園の近くの福永懐徳堂という書店が本日全商品2割引きとのこと。昼ごはんに素麺を食べてさっそく出かけてみる。
ふだん長居方面に出かけるときは御堂筋〜26号線から長居公園通りを東に向かうんだけど、たまにはちがう道で行ってみようと思ったのがまちがいだった。あびこ筋をずっと南だよねと夏の日差しのなか、しばし走るもまったく長居公園が見えてくる気配がなく、おかしいなあ……と思いはじめたあたりで川が現れた。一級河川大和川。橋をわたりながら、えーとつまり堺市まで来てしまったということで、つまり道をまちがえたようなわけで……スクーターを降りてしばし大和川の中州に佇むアオサギダイサギを眺める。結論からいうとあびこ筋と思って走ってたらあべの筋だったわけです。
そのあとはわりとスムーズに店に到着。藤枝静男「小感軽談」(筑摩書房)、木津川計「含羞都市へ」(神戸新聞出版センター)、宮本又次「キタ 風土記大阪」(ミネルヴァ書房)、ジョイス・マンスール「充ち足りた死者たち」(白水社)、朝永振一郎「庭にくる鳥」(みすず書房)、ぜんぶ安かったからなんか結構買っちゃったな。
「庭にくる鳥」はみすずライブラリーで新刊も手に入るようだけど、函から取り出してあっと驚いたのが、著者本人による図画をもとにした木版がカラー印刷された表紙だった。これはすごい。それに中身もとてもかわいらしい本でいいんだな。

死んだ猫は子猫のときにむすめが友だちからもらってきたものだ。そこでむすめは早速この友だちに不幸を知らせ、そのほか、せんの家にいたとき、煮ぼしなどをみやげに訪ねられ、猫をひざにのせてかわいがって下さった小母さんたちにも通知を出した。
朝永ネコ儀昨夜交通事故のため急逝いたしました。遺体埋葬の儀は本日もみじ山に於てしめやかに取行いました。ここに生前の御厚誼を深謝し謹んで御通知申上げます。なお勝手ながら御供物の儀はかたく御辞退申上げます。

さて、これでごろごろ生活も準備万端というわけで。ごろごろ。