不可視の逮捕

梅田までベビーカーを押して歩いて、ヨドバシ、成城石井、タワレコ、ロフトマンコープあたりをぶらぶら歩いて、帰りみちにそねざきけいさつの前を通りかかるとへんな2人組がいた。
「フレー!フレー!きんちゃん!」「フレーフレーきんちゃん、負けるなきんちゃん!」「僕たちのともだち、きんちゃんが大阪府警に不当逮捕されてしまいました」「きんちゃん、くじけるな!ぼくたちがついています!」「あわれなきんちゃんはサミット開催のあおりを受けて逮捕されてしまったのです!」「フレー!フレー!きんちゃん」というようなことを繰り返しポータブルの拡声器で叫んでおり、そのうち署から警察官が出てきて押し問答しながらもフレーフレーは続き、通りがかりのオッサンが「えー!それはあかんやろ!きんちゃんかわいそうやろ!」などとまたいらんこと云うたりするのであった。
昨晩の西成の件もそうだけど、なんかこう、大阪では警察は身近というか等身大というか、「べつに云いたいこと云うくらいええやろ」という感覚でとらえられてるように思います。よその土地であんまりこういうの見たことない。それはそれで健全ともいえるけれど、ある局面では物事のスムーズな進行を妨げるものでもあるわけで。
というのは、まあ、べつにいまさらあえて語るべき「大阪らしさ」でもなく、2ch住人にならっていえば「また大阪か」という話なんですけど、でもきんちゃんの件はそれにとどまらず、聞いているうちに、きんちゃんてほんとに存在するのかしら……という眩暈を呼び起こすような、実験精神に基づいたパフォーマンスである気すらしてきて、こういう場面で大阪弁が持つdislcationalな感覚というのはおもしろいと思います。ネイティヴの人はどう感じるのか知らないけど。