帰りみち

くちびるつんと尖らせて なにか企む表情は
朱書きの気配を封筒に 隠していたから
督促の長電話して 受話器持つ手がしびれたね
居留守つかわれた 空しさは今も忘れない
会社から家に帰るまで、スクーターを運転しながら替歌をつくって歌う。われながらどうかと思うなあ、これ。
最近は19時までには会社を出ているので、季節のせいもあって空がまだ薄あかるい。新御堂筋を南に向かうと、新大阪の新幹線プラットフォームの高架をくぐったところで2車線から3車線に開けてすこしスピードが増す。そしてしばらくするとさらに4車線になって新淀川大橋をぐんと飛ばすことになるんだけど、この瞬間、空気の温度がはっきりと変わるのがわかる。これがいいんだなあ。川をわたる風と、向こうに立ちならぶ梅田のビル群と、頭上を伊丹空港へ向かう旅客機。歌とは逆に、風景が天然色からモノクロームに変わっていく時間。