予想外の未来

部屋に義母がいる。今週は娘がずっと熱を出していて、とちゅうまで妻と交代で会社を休んだり病児保育に預けたりしたものの、いっこうに熱が下がらず、どうにも立ち行かんようになってきたので助けをお願いしたのである。ほんとうにありがたい。
しかしあれだ、家のなかに他人がいるというのは、なかなかにふしぎな感覚である。もちろん妻も娘も厳密には他人なわけですが、いっしょに過ごす時間が長いのであまり新鮮な他人ではない。なぜこのひとがここにいるのだろうか……という感覚が妻に対してまったくないとは云わないですけど、まいにちそんなことを考えていると生活がたいへん不便であり、ふだんは「結婚してるから」という共通認識のもと僕たちは暮らしている。では、なぜ結婚したのかということを考えると、「いっしょに暮らしていきたいと思ったから」となり、「なぜいっしょに暮らしているのか」という最初の設問に対する解答にはぜんぜんなっていないんですけど、まあ、そのへんのトートロジーをえいやっと背負い投げしてくれるのが「なんか好きだったから」といういかにもぼんやりした意思表明である。あたまがわるい。しかし、それくらいぼんやりしていないと、結婚なんて野蛮なことはできないのかもしれないですね。
義母には本棚のある部屋を使ってもらっているのですが、ふと気づくと僕の諸星大二郎を読まれてたりして、なんかこの超現実感ってすげえなと思う。ほんとうは、お義母さんまずはその下の段の奥にある「マッドメン」から読んで!と云いたかったのですが自重しました。