アオサギのはなし
早朝に中之島近辺を歩いていると、アオサギの姿をよく見かける。大阪国際会議場前の堂島川のボート発着場にたたずんでいたり、土佐堀川にかかる橋の鉄骨アーチの上にとまっていたり。グゥァーて鳴きながら大きな翼を広げて飛んだりもする。わりと都市環境に適応している種だとは知ってるけど、ビルにかこまれたちっぽけな土地にこんな大きな野鳥が姿を見せることにはすこし驚いてしまう(アオサギは日本で見られるサギ類のなかで最も大きく、全長90cm以上になります)。
しばらく前にそんな話をしたところ、妻には「ああ、ノルシュテインの……」といわれた。アニメっ子はなんでもじぶんの領域に結びつけるから困る。「あおさぎと鶴」はロシアの民話をベースにしたアニメーションだけど、ふと思ったのが日本の昔話でアオサギってあんまり登場しないよなあということ。あれだけでかくて目立つ鳥なのにね。
「図説 鳥名由来辞典」によると、そもそもアオサギという呼び方は奈良時代の資料には残っておらず、ミトサギと呼ばれていたという。平安時代以降にはアオサギという呼び方が見受けられるが、2つの呼称が並存したまま明治以降になってアオサギに統一されていったとされている。ミトサギとして詠まれている和歌が3首紹介されていて、次のものが僕が見かけるアオサギの風景にいちばん近いように思います。
朝まだき淀野のまこも末分けてたつみとさぎの声もさむけし
(新撰和歌六帖)
「図説 鳥名由来辞典」は、1993年に刊行された同名の辞典の判型の小さい普及版。とはいってもふつうに読むには十分なサイズで、これだけの労作をたった3,800円で入手できるのはすばらしいことだと思う。同じサイズで「図説 魚と貝の辞典」(ISBN:4760126570)、「図説 花と樹の辞典」(ISBN:4760126589)も刊行されています。そのうち全部揃えたいなー。
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