「地球のための紳士録」

石上三登志さんの「地球のための紳士録」(奇想天外社)がおもしろい。
映画や小説に関する人物事典なんだけど、前後につながりを持たせる順序配列で構成されているのが特徴。たとえば、「地球の静止する日」のパトリシア・ニールについての項目の後、その夫であるロアルド・ダールの解説がはじまり、その次にくるイアン・フレミングの項ではロアルド・ダールが映画化脚本を担当した「チキ・チキ・バン・バン」の話がある……といった具合。これはつまりウェブ上での、とくにWikipediaなどでの情報収集に近い。体系化された情報の取得じゃなくて、キーワードでハイパーリンクされたテキストの間を自由にめぐるようなやり方にね。それを紙媒体で無理やりやってしまっているところが、とても新鮮です。
資料としても、なかなか貴重な情報が見つかります。ジョージ・パルがC.G.フィニーの「ラーオ博士の七つの顔」を映画化していたなんて知らなかったよ。観たいー!というようなネタがけっこうゴロゴロしています。