起源と隠蔽の火曜日

僕と妻はネットを介して知り合って結婚に至ったインターネッ子夫婦なわけですが、正直なところ馴れ初めとか聞かれるとすごく困る。隠すつもりはないけど、説明がしづらい。「いや〜ネットで知り合ったんですよ」などと明るく言い放って、（出会い系か……）などと思われるのも心外である。かといって詳しく説明しようとするのも骨が折れる。
「そのころ個人サイトやってて、えっ？個人サイトっていうのはその名のとおり企業とか団体じゃなくて個人が好きに制作していたサイトのことで、……うーん、べつに主張だとかそういうのがあったわけじゃなくて単にじぶんの好きなこと書いてただけなんですけどね。どういうのって？まあまあそんなのどうでもいいじゃないですか。でまあ、そのころ奥さんも個人サイトをやってて、そこの掲示板だかゲストブックだかに書き込んだのがきっかけだったんですけど、え？２ちゃんねるとか全然関係ないですから！そういうのじゃなくて、個人のサイトにも掲示板をつけるのが普通だったんですよ。……ゲストブックっていうのは……まあ、初めましてってあいさつみたいなもんで。で、オフ会はわかりますよね？そうそう、そのオフ会っていうほどじゃあなかったんだけど、京都であった海外のバンドのライブにネット上での知り合いが何人か行くことがわかったんでついでにお茶でもってことで……、えーとスラップ・ハッピーっていうバンドなんですけど……、ちょっと古いです、70年代くらい。そうそう、バリバリのロックバンド（投げやり）。要するにそのとき奥さんと初めて会ったんですよ。……うーん、ネゲットっていうのとはちょっとちがうんだけど……て、なんでそんな言葉だけ知ってんだコノヤロー！」
大筋としてはこれでまちがいない。めんどくさいので、馴れ初めは友だちの紹介ということにしています。その際の友だちとはライブ一緒に観たＳさんを想定しており、この設定でごまかすたびにＳさんが現在暮らす東京に向かって頭を下げる（すいません）。しかし他人はともかく、子どもが生まれて大きくなったらどう説明しようかな。困ったなー。世の中のネッ子夫婦はどうしてるのですか？

Casa Blanca Moon / Desperate Straights